テーマ6 くらしと草原3−火とともにあるくらし−
<ねらい>
阿蘇の草原では、春の彼岸を中心として一斉に「野焼き」が行われ、時には30mの火柱をあげ燃え盛る真っ赤な炎と、すさまじい煙が立ち上る光景があらわれます。そして、野焼きによって真っ黒になった山肌は、暖かさが増すにつれ、やがて一面緑色に染まり、黄色やコバルト色の花が咲きほころぶ穏やかな景色に様変わりします。春を告げる風物詩として多くの観光客が訪れる野焼きですが、地元の人々が生命の危険を冒しながら従事している農業の営みにほかならないのです。
ではなぜ生命の危険を冒してまで野焼きが行われているのでしょうか、また、誰がどのようにして野焼きを行っているのでしょうか、実際に地元の人に話を聞いたり、野焼きの現場に足を運んだりしながら、野焼きへの理解を深めるとともに、その必要性を考えてみてください。
また、阿蘇には各所に「火」にまつわる伝統行事が残っていますので、子供たちと一緒に調べてみるのも良いでしょう。 |
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1.どうやって草原が焼かれているのかを知る。 |
●家や近所の人に、野焼きの作業について聞いてみよう。
草原に火を入れるまでの準備作業(これについては秋から春までの簡単なスケジュールにまとめてもらうと、輪地切りから野焼きまでの流れが分かる)、野焼きに使う道具、野焼きの手順(これについては草原の簡単な模式図に火をつける順番などを書き込むと、草原毎の作業手順があることが分かる)、注意点、火のスピードや逃げ方などを聞いてみましょう。いかに野焼きが大変で危険を伴う作業なのかがわかるでしょう。
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●家や近所の人に、どこで誰が野焼きをしているのか聞いてみよう。
家や近所の人に、どこで誰が野焼きをしているのか聞いてみることで、草原に関わりのない人や阿蘇に住んでいない都市の人が、作業に参加していることなどがわかるでしょう。
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●昔の野焼きの様子を聞こう。
おじいさんやおばあさんが若かった頃に行っていた野焼きの話を聞くことで、野焼きのやり方も変わってきていることなどがわかるでしょう。
ヒント |
植林がまだ進んでいなかった頃には、山火事になる危険性が低かったので、夜に火を放ってそれを見ながら酒を飲んでいたこともあるようです。 |
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2. なぜ草原を焼いているのかを知る。 |
●野焼きに参加している人に、なぜ野焼きをするのか聞いてみよう。
野焼きに参加している人に、なぜ野焼きをするのかについて聞いてみると、野焼きが農業を営む上で欠かせない作業であることが分かるでしょう。また、農業を営んでいない人(サラリーマンの世帯、野焼き支援ボランティアなど)に聞くと、草原を残していきたいという強い思いがあることも分かることでしょう。
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●野焼きをしている草原としていない草原を比べてみよう。
3月中旬頃、野焼きが行われている草原と、行われていない草原を記録しておいて、年度が明けた4〜5月に、それぞれの場所に出かけてみましょう。草を観察して比べてみると、野焼きが行われた草原は草が青々と芽吹いているのに対し、野焼きが行われなかった草原は、春でも茶色っぽく丈の長い草が生えていることがわかります。野焼きによって、新しい草原が生まれることが分かります。 |
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