ついつい子どもに伝えたくなる!! 阿蘇の草原ハンドブック このウィンドウを閉じる
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解  説

3.草原環境が危ない

   この豊かな阿蘇の草原環境が、いま危機にあります。希少な動植物が生育する環境が変容・減少し、その個体数が減っているのです。その原因としては、ゴルフ場や宅地などの造成、草地の開発・耕地化、各種土木工事、拡大造林、盗掘など、人の手による直接的な開発活動などはもちろんですが、近年は、農畜産業や生活様式の変化にともなって、野焼き、採草、放牧といった長年続けられてきた草原での作業が行われなくなりつつあることも大きく影響していると考えられます。
 こうした生態系の損傷を少しでも食い止めるため、環境省や県、旧一の宮町(現阿蘇市)は、絶滅の危機にある動植物を指定し、保護を図ってきました。しかしながら、それだけでは開発などによる影響は避けられても、人が手を加えることで維持されてきた草原環境そのものを守ることはできません。様々な動植物が数多く生きる阿蘇の草原環境を守ることは、草原を上手に利用していくことにほかならないのです。このことは、今後私たちが取り組んでいかなければならない問題のひとつであり、環境省でも平成8年度より、阿蘇地域において草原保全のための検討や試験的事業を行い、平成15年度からは「阿蘇草原再生」を合言葉に、「草原再生事業」の実施に向けた調査や計画づくりを進めています。(→p40からの「草原をめぐる問題」を参照)
  (参考:阿蘇−自然と人の営み−)


コラム 阿蘇の希少な動植物
○環境省レッドデータブックに記載された阿蘇の草原植物
(ごく近い将来における絶滅の危険性がきわめて高い種(絶滅危惧TA類))
ケルリソウ、タマボウキ、チョウセンカメバソウ、ハナシノブ、ヒメヒゴタイ
(TA類ほどではないが、近い将来絶滅の危険性がきわめて高い種(絶滅危惧TB類))
オグラセンノウ、ツクシトラノオ、ヤツシロソウ、ヒゴタイ、コウライトモエソウ、タカネコウリンギク、ヒメユリ、ツクシマツモト(マツモトセンノウ)、ハナカズラ、ツクシフウロ、ベニバナヤマシャクヤク、シムラニンジン、ロクオンソウ、ムラサキ、ヒメノボタン、ノジトラノオ、ヒメナエ、カイジンドウ、ツクシクガイソウ、チョウセンスイラン、エヒメアヤメ、ダイサギソウなど

○熊本県が指定した指定希少野生動植物と生息地等保護区
熊本県では、平成2年12月22日に全国に先駆けて「熊本県希少野生動植物の保護に関する条例」を制定し、現在その条例の改正を行い、県内においてその個体数や生息地等が著しく少ないもしくは減少しつつあるものや生息・生育環境が悪化しつつあるもの、また学術的価値が高いもの等を「指定希少野生動植物」として、また、それらの動植物を保護するために重要な区域を「生息地等保護区」として改めて指定し直す準備を進めている。「指定希少野生動植物」40種のうち、阿蘇の草原に生育・生息するものが約半数の20種を数える。

【阿蘇地域の指定希少野生動植物種】(再指定後)
<草原に生息・生育する動植物>
オグラセンノウ、ツクシマツモト(マツモトセンノウ)、ミチノクフクジュソウ、ツクシフウロ、サクラソウ、ツクシトラノオ、ツクシクガイソウ、ヤツシロソウ、ヒゴシオン、ヒゴタイ、サギソウ、ケイリンサイシン、ベニバナヤマシャクヤク、タマボウキ、スズラン、ノカンゾウ、ヒメユリ、エヒメアヤメ、オオルリシジミ、オオウラギンヒョウモン
<その他阿蘇に生息・生育する動植物>
アズマイチゲ、クマガイソウ、オオダイガハラサンショウウオ、モートンイトトンボ、グンバイトンボ

【阿蘇地域の生息地等保護区】(再指定後)
井出湿地生育地保護区(阿蘇市)、中江生育地保護区(阿蘇市)、満願寺生育地保護区(南小国町)、河原生育地保護区(高森町)、野尻生育地保護区(高森町)、津留生息地保護区(高森町)、久石生息地保護区(南阿蘇村)

資料:熊本県自然保護課


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