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阿蘇に生育する植物は約1,600種といわれています。これは熊本県内に分布する種の約7割、日本に分布する種の約2割にあたります。そのうち草原に生育するのが約600種といわれており、その中には「大陸系遺存(たいりくけいいぞん)植物」、「北方系(ほっぽうけい)植物」、「襲速紀(そはやき)要素の植物」と呼ばれ、九州が中国大陸や四国や本州と陸続きであったという大昔の歴史を物語る植物もあります。大陸系遺存植物や北方系の植物は、阿蘇の冷涼な気候と草原という条件の良い環境に適応しているものが多く、このような由来をもつ植物種が混在していることで、阿蘇の植物は、実に多様性に富んだものとなっているのです。 |
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大陸系遺存植物(たいりくけいいぞんしょくぶつ)(朝鮮半島、中国東北区との共通種)
氷河期の頃、中国大陸や朝鮮半島と陸続きだった頃に分布したと考えられています。大陸と九州がつながっていたことを示す「生き証人」といえます。 |
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・国内で阿蘇だけに分布
(ヒロハトラノオ、ツクシマツモト、ケルリソウ、チョウセンカメバソウ、タマボウキ、ハナシノブなど)
・国内で阿蘇くじゅうだけに分布
(ツクシフウロ、ヒゴシオン、ヤツシロソウ、ツクシクガイソウ、タカネコウリンギクなど)
・国内の限られた地域に分布
(ヒゴタイ、オグラセンノウ、エヒメアヤメ、ヒメユリ、フクジュソウ、アソノコギリソウなど) |
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北方系(ほっぽうけい)植物
主に北日本に分布し、阿蘇のあたりが南限となっているもの。 |
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| サクラソウ、イブキトラノオ、スズラン、リユウキンカなど |
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襲速紀(そはやき)※要素の植物
九州が昔、四国や紀伊半島と陸続きだった頃に分布したと考えられるもの。 |
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ナツツバキ、アサガラ、ヤハズアジサイ、テバコモミジガサ、シコクスミレ、ハガクレツリフネなど
※「襲速紀」の「襲」は熊襲(くまそ)の襲で南九州一帯を指し、「速」は速水瀬戸(豊後水道・四国と九州の間)、「紀」は紀の国つまり和歌山県のことを指します。 |
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(参考:阿蘇−自然と人の営み−、杵島岳自然観察ハイキング資料) |
阿蘇の草原は、農業・畜産業による利用と管理や、自然条件の違いから、大きく分けて次の4つの質が異なる「野草地」と改良草地で構成されています。草原のタイプによってそこに生育する植物も変わってきます。
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採草地 |
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年数回の草刈り以外は手をいれないため、様々な植物が育ち、長草型草原(丈の高い植物が生育する草原)となります。「盆花(ぼんばな)」に利用される野草も多く生育しています。ススキのほか、大陸系植物では、タマボウキ、ケルリソウ、ヒロハトラノオ、ツクシクガイソウ、ツクシマツモト、ヤツシロソウ、アソノコギリソウ、ヒゴタイなど、林縁には、場所によってはハナシノブが見られます。 |
| 2) |
放牧地 |
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放牧された牛や馬が草を食べたり踏みつけたりするので、短草型草原(丈の低い植物が生育する草原)となります。草千里がその典型です。ネザサ、トダシバ、ワラビのほか、ツクシゼリ、ハルリンドウ、オキナグサ、キスミレといった大陸系遺存植物がみられます。牛も好き嫌いがあるようで、毒のある「クララ」や「オキナグサ」、あく抜きしないと苦い「ワラビ」などは食べないので、長期に放牧するとこれらの草が増えてきます。またクララという草でしか育つことができない希少なチョウ(オオルリシジミ)が生息するなど、独特の生態系がつくり出されています。 |
| 3) |
茅野(茅場) |
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秋に採草せずに野焼きだけ行うため、ススキが密生する比較的単純な生態系の長草型草原となっています。昔は萱葺き屋根の材料として利用されていましたが、最近では萱葺き屋根も見られなくなり、茅野の面積は増えているものの、草を収穫する場所として利用されることはほとんどありません。 |
| 4) |
湿地性植物群落 |
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草原のくぼ地には小さな湿地が点在し、湿地特有の植物が生育しています。長草型草原に分類されるこうした湿地には、ツクシフウロ、ヒゴシオン、オグラセンノウ、サワゼリ、チョウセンスイランなどの大陸系遺存植物や、イブキトラノオ、リユウキンカ、シラヒゲソウ、クサレダマ、サクラソウなどの北方系植物がみられます。 |
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草原のタイプと植生
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| 5) |
改良草地 |
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改良草地とは、原野を改良して栄養価の高い西洋牧草を栽培している「草の畑」。上にあげたような、多様な日本古来の植物が生育する野草地とは異なり、牧草と雑草のみの草地となります。
阿蘇では、昭和40年頃に国・県の指導で、大型機械で耕し外国種の牧草(イネ科の多年草)の種を蒔く大規模な草地の改良が行われました。これは、栄養価の高い牧草地を作り春の早い時期から放牧ができるように、また、初冬まで放牧延長が可能な草地を得られるようにすることが目的とされています。
優れた牧野の利用方法ですが、牧草は根が浅く保水能力がないことや、年月を経て土壌や植生の状態が悪化し、期待した生産量が得られなくなった場合、改めて牧草の種を蒔く必要があり経費が増大すること、有害雑草の混入が多くなること等の問題もあります。 |
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(参考:社団法人日本草地畜産種子協会HP) |