ついつい子どもに伝えたくなる!! 阿蘇の草原ハンドブック このウィンドウを閉じる
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はじめに


 阿蘇には、日本一の広さを誇る草原が広がっています。
 実はこの広大な阿蘇の草原が、千年ともいわれる長い間、人の手によって維持されてきたということをご存知でしょうか。例えば、平安の昔には軍馬の生産のため、一昔前には農耕用の牛馬の飼料を得るため、田んぼにすき込む緑肥とするため、茅葺き屋根の材料とするため、そして現在では、肉用牛の放牧のため、また野菜を栽培するための堆肥にするため、時代によりその方法を変えながら人々が利用してきました。そうした草原を保つために、早春に集落の人々総出で野焼きを行ってきたのです。そして、このような草原に根ざした生活の中から、「盆花採り(お盆にご先祖様に供えるため草原の花を採る)」などの美しい風習が生まれました。
 阿蘇の人々が生活のために守ってきた草原ですが、その価値は、まさに国民共有の財産ともいうべきものです。約600種もの多様な植物の生育環境として、九州北部約230万の人々に水を供給する「九州の水がめ」として、年間1,900万人を超える観光客が訪れる景勝地として、さらには日本有数の肉用牛の生産地として、阿蘇のみならず日本にとって欠くことのできない草原といえます。
 しかし、今、阿蘇の草原が危機に瀕しています。生活様式や農業形態の変化、畜産業の低迷などにより、以前ほど草原が利用されなくなり、それに伴って草原面積が減少したり、草原の変容が進んで国立公園としての景観や豊かな草原の生態系が損なわれたり、地域で培われてきた文化が失われたりする問題が起きています。
 阿蘇に住む人々にとっての誇りである草原、そして、自然と人間の共生の歴史を物語る象徴として日本が世界に誇る草原を守り、再生していくことは国民共通の課題といえます。
 このハンドブックは、未来を担う子供たちと、その子供たちに教育現場で日々向き合っていらっしゃる先生方を対象に作成しています。別冊の「草原カレンダー(2005年度版)」と対応するように、草原に関する話題やそれらを活かしたプログラムを用意しています。
 これら教材の作成にあたっては、地元の若手教育関係者や観光・交流施設関係者をメンバーとした作業部会を設置して、教材の使い方やテーマの設定等について検討を重ねるとともに、地元有識者の方に監修協力をいただきました。
 このたび作成した「草原カレンダー(2005年度版)」、「先生用ハンドブック」があわせて活用されることにより、子供たちにとって草原がより身近に感じられ、誇りとなるよう、そして阿蘇千年の草原とそこに根ざした美しい文化が、次世代に引き継がれますことを期待しています。

 
環境省自然環境局 阿蘇自然環境事務所


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