阿蘇の草原の多くは、集落ごとに定められた入会地となっています。入会地とは、阿蘇の場合では、入会権という入会地を使用する権利を持つ人が、牛馬の放牧・採草を行う草原や薪を得るための森林を共同で利用する場所のことを指します(簡単に言えば共有地のようなものです)。入会地の多くは町村が土地所有者となっていて、古来からの利用形態である入会権を慣習的に認めているという状態です。
草原の維持管理は、入会地を利用しておもに畜産業を営んでいる農家で組織された牧野組合(ぼくやくみあい)が行っています。入会権を得る条件として、入会地の維持管理作業を担う義務があり、「公役(くえき)」と呼ばれています。阿蘇における公役の内容は、主に野焼き、輪地切り、牧柵・牧道の修理・修繕などがあります。
阿蘇は年間2500mm以上も雨が降るため、草原を放置しておくと、やがて藪になり、最終的には森林になってしまいます。いばらなどの潅木が草原内に侵入するのを防ぐために、草原に火を入れ、これらの潅木や樹木の幼木を焼き払うことで阿蘇の草原は千年以上も維持されてきました。
トラクターなどが普及する前は、集落の各家で役牛や馬を数頭飼っていたので、集落の誰もが入会権を持ち、牧野組合にも所属していました。しかし、機械化や化学肥料の普及、農業以外の職につく人の増加などの様々な理由から、無畜農家が入会権を持つケースや、入会権を放棄する人が多くなってきています。それに伴って、多くの人手が必要となる草原の維持管理が困難になってきています。
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