大学卒業後は、得意の外国語を生かして海外の旅行会社に勤務しながら10年ほど海外で暮らしました。この海外暮らしの中で、徐々に郷愁の念が強まるとともに、日本が先進国としてあり続けるためには、他の先進国の多くがそうであるように、農業国を目指さなければならないと思い始めました。そして、40歳を目前に日本に戻って農業に従事することを決意し、その場所を探していたところ、阿蘇にたどりつきました。阿蘇は、生まれ故郷の熊本県にあり、自分の憧れる山あいの風景が残るとともに、日本最大の肉用牛の生産基地で、福岡や熊本などの大消費地に近く、農業復活の鍵を握る場所だと確信したのです。
しかし、頼りもなかったので、まずは小国町が主催している「九州ツーリズム大学」に参加しました。そこで、農畜産業を営む井さんの話を聞いたのをきっかけに、昨年夏、井さんを頼って産山村に移住。小さな山小屋に住み込み、翻訳業で生計をたてながら、井さんの手伝いを始めました。
今年4月には、「阿蘇フォーラム」(※1)が企画した「阿蘇インターナルライフ」(※2)の第一期の農業研修生として、地元の農家グループに受け入れてもらえることになり、より幅広く農家の仕事に従事できることになりました。大変機会に恵まれたと感じています。
※1 阿蘇フォーラム:阿蘇をフィールドとしてさまざまな活動を行っている人や団体が、共通に議論する場として平成14年に立ち上げられた。委員長は井信行氏。
※2 阿蘇インターナルライフ:長期滞在しながら阿蘇での仕事や人や暮らしに出会おうというプログラムで、第1期にあたる今回は、地元受け入れ組織として4軒の農家による農業チームが結成され、研修生を受け入れた。国立阿蘇青年の家(阿蘇市一の宮町)を拠点に、1年を前期と後期に分けて受け入れることとなっている。
|